gkojay
案外、知られていないが、ウィキペディアの執筆者というのは実は専門家とは限らず、海千山千のそれこそ有象無象の人たちである。だからウィキペディアに書かれていることは、実は正しいとは限らないケースが意外とある。
 
ところが、ウィキペディアに書かれているというだけで無条件に信頼してしまう人も多い。そんな訳で、本来、「明らかに間違った情報」なのにウィキペディア に掲載されたことで、それが「正しい情報」としてネット上に拡散されていくという、情報ロンダリングを過去に幾つか目の当たりにしてきたのだけど、今回は その辺に少し触れてみようと思う。
 
急にこんなことを思い立ったのも、ヤフー知恵袋で「『山下清』の本名が『大橋清治』だという説がありますが‥」(質問日時2011/5/24 14:14:55)という質問を目にしたからである。確かに、ウィキペディアの「山下清」の項目(2011-05-28 02:38:27現在)を見てみると、「本名:大橋清治」となっていて、なぜか山下清の父親の名前も「大橋清治」である。ヤフー知恵袋の人はこの辺から疑 問に思ったようだ。
 
ネット上ではすでに、「山下清の本名は大橋清治」という情報は拡散して、既成事実化されつつあるようだ。ところが、山下清の本名が大橋清治であるという情 報の出どころというのは実は不明なのである。山下清の訃報記事、あるいは生前に山下清を取り上げた新聞記事、週刊誌記事、そして伝記、さらには人名事典の たぐいまで、あらゆる史料をあたったが、そんな話はどこにも書かれていない。
 
ウィキペディアの履歴を見ると、この情報は2007年8月31日 (金) 02:27の版で書き加えられている。その時点では山下清の父親の名前が大橋清治という情報は、ウィキペディアの山下清の項目には記されていなかった。す ると、大橋清治を山下清の本名と最初に加筆した人というのは、父親の名前と混同して誤って記してしまったのではないか。
 
これを覆すには「山下清の本名は大橋清治ではない」という史料を提示するしかないのだけど、そもそも山下清の本名が山下清であった場合、わざわざ「山下清 の本名は山下清」なんて記述をする新聞、週刊誌報道、伝記、人名事典がある訳なく、山下清の身内か、はたまた最初にウィキペディアの山下清の本名情報を加 筆した人しか、「山下清の本名は大橋清治ではない」というのを証明しようがないのである。
 
このブログでも過去に3回、ウィキペディアについては取り上げたことがある。
 
http://blog.goo.ne.jp/moominwalk/e/e45fc0bd847a8a61a0e58c72f105add9
ブレービー
 
http://blog.goo.ne.jp/moominwalk/e/a7c542a931ffdc6e076c69d0a85d3c54
中岡慎太郎をめぐる怪説
 
http://blog.goo.ne.jp/moominwalk/e/bf1e862ed603715567a17d42a3036186
作家の推理が史実とされるまで
 
これ以外にも、現在は直されているけれど、ウィキペディアでは菊田一夫の没年を本来の1973年ではなく、長らく1972年としていた。いまだにネットに 散見される、菊田一夫の没年は1972年という誤った記述は、このウィキペディアの情報ロンダリングに引っかかった人たちによるものである。
 
ほかにも、ネット上で多くの人が引っかかっているものでは、東京への初の本格的な空襲を1944年11月14日とする記述がある。これはウィキペディアの 「東京大空襲」の項目(2011-05-28 02:38:27現在)に誤った記述があるためで、正しいのは11月24日である。また「天皇誕生日」の項目(2011-05-28 02:38:27現在)においても、大正年間を通じて大正天皇の本来の誕生日である8月31日は実際に祝日となったことは無いにも関わらず、1913年だ け祝日であったかのような誤った記述がある。
 
また新しいところでは、「研ナオコ」の項目(2011-05-28 02:38:27現在)で、彼女が「1977年 大麻取締法違反(所持)容疑で逮捕」とあるのも誤りで、実際は「任意で事情聴取後、書類送検され起訴猶予」である。
 
http://blog.goo.ne.jp/moominwalk/e/e3c5d9344a0dca387976e0cd68208f56
研ナオコをめぐる怪説
 
ウィキペディアの記述を「証拠」とされ、誤った情報でバッシングを受けた実例である。大正天皇の誕生日は祝日かうんぬんという話ぐらいだと間違った情報が 拡散しても被害はウィキペディアを鵜呑みにした当人が恥かくだけで済むけれど、ここまでくると、ウィキペディアの情報ロンダリングは害悪と言ってしまって もいいだろう。
 
ネットの草創期、自分は「東京裁判の死刑執行人の中に若き日のキング牧師がいた」という誤情報(出典は児島襄の著作をネタにしたクイズ番組)を鵜呑みにし て、ある個人HPのコミュニティで恥をかいたことがあって、それ以来、この手の情報にはえらく慎重になった。恥をかくぐらいならまだしも、誰かに実害が出 る虚偽情報の拡散に知らないうちに加担してしまわないよう、ウィキペディアの「情報」を引用する場合、まずその「情報」の出どころを確認してみる習慣をつ けておけば間違いないだろう。
yellowblog
危険ドラッグ!全然ダメだ!無難な一般公募なんかにせずに、小林製薬に決めてもらえばよかったんだ。「ヨダレダラリン」とか「ダメニナール」とかにしてくれたはず。